【2026改定】7対1病棟の「椅子」が減る日|必要度厳格化で、私たちは誰を見るのか

30秒サマリー

背景と現在地

高齢化の波がピークに達する今、急性期病棟(7対1)の役割は「高度治療」へと純化されようとしています。厚労省が推進しているのは、評価期間の短縮や測定方法の厳格化という、事実上の**「篩(ふるい)」**です。

ニュースの核心

それはまるで、満員のバスから乗客を降ろすように、病院の機能を強制的に振り分ける作業に他なりません。2024年改定で「救急搬送後の評価日数」が短縮された流れは止まらず、急性期の看板を守るための業務が、皮肉にも患者さんから目を離す時間を生んでしまうジレンマが深まっています。

結論

「モニターの波形」と「点数」ばかりを気にする管理に、現場の疲弊は限界です。しかし、この流れは「看護師が本来見るべき患者は誰か」を問い直す契機でもあります。

3分サマリー

「評価期間」のさらなる短縮:点数のためのケアからの脱却

国は以前から、単なる延命や休息入院ではなく、密度の高い治療を行う場として7対1病棟(急性期一般入院料1)を定義しようとしています。 ここで問題視されていたのが、治療のピークが過ぎているにもかかわらず、点数維持のためにモニター装着や点滴をダラダラ続ける**「必要度マネジメント」**です。

  • 理由: 本来なら地域包括ケア病棟や療養病棟に移るべき患者が、病院の収益上の都合で急性期病棟に留め置かれることを防ぐためです。
  • 具体例: 2024年改定では「救急搬送後の入院」の評価日数が5日から2日へ一気に半減されました。これは「入院直後の本当に大変な時期しか評価しない」という強いメッセージです。2026年に向けては、抗がん剤使用や手術後の評価日数、あるいは「内科的な手術なし症例」の評価基準にもさらにメスが入る可能性があります。
  • 結論: これにより、入院直後の「超・急性期」以外は、7対1の点数が取れなくなる未来が既定路線となっています。ナースにとっては、患者さんが落ち着いた瞬間に転棟・転院調整に追われる、慌ただしい運用が加速するでしょう。

「必要度Ⅱ」への完全移行:ブラックボックス化する評価

これまで多くの病院で行われてきた、看護師が毎日手入力でチェックを入れる評価方法(必要度Ⅰ)が、廃止に向かっています。

  • 理由: 従来の「必要度Ⅰ」は、現場の入力の手間が膨大であるだけでなく、判定のバラつきや、病院経営維持のためにギリギリの患者を過大評価するような「意図的な操作(甘い評価)」が疑われていたためです。
  • 具体例: すでに急性期一般入院料1(7対1)では、レセプトデータ(EFファイル)から自動抽出する「必要度Ⅱ」の使用が必須化されました。これは、看護師が「手間がかかった」と感じても、処置や薬剤のオーダー実績(データ)がなければ、一切点数にならないことを意味します。
  • 結論: 日々の記録業務の負担は減りますが、看護記録の文言で点数を稼ぐような「ごまかし」は一切通用しなくなります。評価がシステムの裏側で行われるため、現場からは「なぜこの患者さんが重症扱いにならないの?」という乖離を感じる場面が増えるかもしれません。

高齢者救急の「振り分け」圧力とB項目の行方

現場のナースが最も矛盾を感じているのが、この点ではないでしょうか。 誤嚥性肺炎や尿路感染症など、医療処置は少ないが介護量(ADL介助)が多い高齢者は、高度急性期である7対1には「適さない」と判断される傾向が強まっています。

  • 理由: 国の方針として、高齢者の生活支援は「地域包括医療病棟」や「地域包括ケア病棟」で担うべきであり、高コストな7対1のリソースを割くべきではないと考えているからです。
  • 具体例: 2024年改定で、7対1病棟の必要度評価において、食事や排泄の介助を評価する「B項目」が事実上削除(該当患者割合の計算から除外)されました。
  • 結論: これにより、どれだけオムツ交換や食事介助で走り回っていても、A項目(モニタリング・処置)やC項目(手術)の点数が低い患者は、病院経営にとっては「赤字リスク」となります。結果として、ベッドサイドの温かさよりも、在院日数の短縮(回転率)が正義となる現場が増えざるを得ません。

今後の見通し:自分の看護観に合った場所を選ぶ時代へ

基準を満たせなくなった病院は、急性期の看板を下ろし、新設された「地域包括医療病棟」などへの転換を検討せざるを得なくなります。 また、2026年に向けては、看護補助者(ナースエイド)との協働や、多職種との柔軟な配置(タスク・シェア)もさらに推進されるでしょう。

これは決して悪いニュースばかりではありません。 これからの看護師は、「高度な処置と回転率に追われる急性期」でスキルを磨くか、それとも「高齢者の生活とじっくり向き合う地域包括」でケアを実践するか、働く場所を明確に選べる時代になります。 制度の変化は止められませんが、自分のキャリアの舵取りは自分で行えます。自分が大切にしたい看護はどちら側にあるのか、コンパスを確認する時期が来ています。

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