【厚労省】「もう、我慢しなくていい」という盾。|ペイハラ対策で変わる“診療拒否”の境界線と、看護師が守られる未来

30秒サマリー

背景と現在地 医師法上の「応招義務(正当な事由がなければ診療を拒めない)」が壁となり、現場は悪質なクレームやペイシェント・ハラスメント(ペイハラ)を断りきれずに疲弊していました。

ニュースの核心 厚生労働省の検討会で、著しい迷惑行為(暴力・脅迫・セクハラ等)があった場合、「診療を拒否しても法的に問題ない」とするガイドラインの強化・明確化が進められています。これは国が「医療従事者を守る姿勢」を明確にした大きな一歩です。

結論 それは「患者さんを見捨てること」ではありません。医療という光を絶やさないために、理不尽な嵐からスタッフを守るための「正当な防衛」が認められようとしているのです。

3分サマリー

「患者さんだから」の呪縛が解けるとき

ナースコールの連打、理不尽な土下座の強要、身体への接触。 「病気で不安だから仕方ない」。そう自分に言い聞かせ、心の柔らかい部分を削りながら耐えてきた看護師は多いはずです。 これまでは「患者を見捨てるのか」という世間の目と、医師法第19条の「応招義務」が、私たちの口を封じてきました。

しかし、現場の疲弊は限界を超えました。国はようやく、**「治療する側にも、人権と尊厳がある」**という当たり前の事実に目を向け、その境界線をはっきりと引く議論を始めています。 「白衣を着ていれば何を言ってもいい」という時代は、もう終わりを告げようとしています。

ここからは「NO」と言っていい。明確化されるレッドライン

今回の議論で重要なのは、今まで曖昧だった「正当な事由(拒否できる理由)」が具体化されることです。

  • 暴力・傷害: 叩く、蹴る、物を投げる。これらは「症状」ではなく「犯罪」です。
  • 脅迫・強要: 「土下座しろ」「ネットに晒すぞ」といった威圧行為。
  • 執拗なセクシャルハラスメント: 身体への接触や、卑猥な言動の繰り返し。
  • 診療と無関係なクレーム: 長時間の居座りや、大声での業務妨害。

これらは「看護師の接遇不足」や「対話不足」ではありません。社会通念上許されない**「医療の妨害行為」**であると定義されます。「私がうまく対応できなかったから」と、自分を責める必要はもうありません。

あなたが一人で戦わなくていい「組織の盾」

このルールの本質は、現場の看護師個人に「帰ってください」と言わせることではありません。病院として、組織的に対応する「盾」を作ることです。

今後は、悪質なケースに対して「警察OB」の介入や、法務担当との連携など、現場のナースを矢面に立たせない仕組みがセットで求められます。 また、これまでは「病院の評判が下がる」「警察沙汰にしたくない」という理由で通報をためらう空気がありましたが、今後は**「躊躇なく警察へ通報すること」**が推奨されます。 白衣を着ていても、殴られれば被害者です。その当たり前の権利を行使することに、後ろめたさを感じる必要はありません。

今後の見通し:その「張り紙」が、私たちを守るお守りになる

すぐに全ての患者さんが穏やかになるわけではありません。 しかし、この議論がガイドライン化されれば、「当院では、暴力・暴言を行う方の診療はお断りします」と、待合室に堂々と掲示できるようになります。

その一枚の張り紙は、暴れる患者への牽制であると同時に、働いているあなたに向けられた**「ここではあなたが守られる」「あなたの尊厳は傷つけさせない」**という病院からのメッセージになるはずです。 私たちは、我慢するためにここにいるのではありません。誇りを持って看護をするために、新しいルールを味方につけていきましょう。

一次ソース

https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-isei_127712.html

(厚生労働省:医療安全の確保に向けた検討会|議事録・資料一覧)

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