【中医協】「看護がしたい」が叶わない理由。|補助者不足の病棟で、私たちが背負わされている「見えない業務」

30秒サマリー

背景と現在地

「タスク・シフト」が叫ばれる一方で、現場では逆にシーツ交換や配膳といった周辺業務がナースの肩にのしかかっています。その原因は、他産業との賃金格差による深刻な「看護補助者(ナースエイド)」の不足です。

ニュースの核心

これは単なる人手不足ではありません。高度な専門教育を受けた看護師が、本来のケア業務以外の負担を一手に引き受けざるを得ないという、医療資源の「構造的なミスマッチ」が常態化している証拠です。

結論

生活を支える手が足りないせいで、命を見守る目が曇らされてしまう現状に、データは明確なNOを突きつけました。

3分サマリー

専門職を「兼務」に変えてしまう、構造的な欠陥

「専門性を発揮しましょう」というスローガンが、どこか遠い国の話のように響くことがあります。 2025年11月の中医協(入院医療等の調査・評価分科会)で示されたデータは、現場の景色を冷徹に裏付けるものでした。多くの病院が「看護補助者が集まらない」と回答し、そのしわ寄せが全て現場の看護師に向かっているのです。 本来、医師の診療を補助し、高度なケアを行うはずの私たちが、なぜ一日中リネン庫と病室を往復しているのか。 それは、病院が補助者に支払う賃金が他産業より低く、なり手がいないから。その病棟に空いた「空白」を埋めるために、最も責任感が強く、現場を離れられない看護師が、なし崩し的に周辺業務をカバーし続けているのです。私たちはいつの間にか、ナースコールを取る隙間も惜しんで、誰でもできる仕事に追われるようになっています。

リネン交換に消えた15分が、命を危険に晒す

「誰かがやらなきゃいけないから」。その優しさと責任感で、あなたは今日もお茶を汲み、ベッドを整えたかもしれません。 しかし、データは残酷な相関を示しています。補助者がいない病棟では、看護師の「残業」と「周辺業務時間」が有意に増え、結果としてナースコールへの反応遅延や、転倒転落リスクの上昇を招いています。 あなたがシーツを替えているその15分は、患者さんの表情の変化や、不穏の予兆に気づけたかもしれない15分です。 雑務をこなすことで一日が終わってしまう。それは病院経営にとっては「穴埋め」として機能しますが、専門職としてのキャリアにとっては、あなたのスキルと時間を摩耗させるだけの行為になりかねません。「忙しいから」と患者さんの訴えを遮った瞬間の、あの胸の痛み。それは私たちが背負うべきものではないはずです。

「私がやります」を捨て、本来の場所へ帰ろう

2026年度の診療報酬改定では、この補助者不足解消(処遇改善)が大きな焦点となります。しかし、国の動きを待っているだけでは、明日のあなたの負担は減りません。 今すぐできることは、過剰な自己犠牲をやめることです。 「専門外の業務でケアの時間が削られている」という事実を、感情ではなく記録として上司に伝えること。あるいは、タスク・シフトが機能し、看護補助者やクラークが潤沢に配置されている「看護に集中できる環境」を選ぶこと。 その国家資格は、業務の穴を埋めるためではなく、あなたにしか救えない命を守るためにあるのですから。

一次ソース

https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-chuo_128154.html

(厚生労働省:中央社会保険医療協議会 入院医療等の調査・評価分科会 資料より)

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