30秒サマリー
日本看護協会は、介護分野で働く看護職員の賃金があまりに低く、離職が止まらない現状を踏まえ、厚労省に対して強い要望を提出しました。
特に問題なのは、
・訪問看護はベースアップ評価料が十分に届かない
・介護職員等処遇改善加算に、看護師が含まれない
・病院より賃金が低いため人材が定着しない
という構造的な不公平です。
制度の“穴”が埋まらなければ、地域包括ケアは成り立たない──その危機感が表明されています。
3分サマリー
■ 現場では「同じ看護師なのに、介護分野だけ待遇が低すぎる」
日本看護協会の要望書は、介護施設・訪問看護・看多機(看護小規模多機能)で働く看護師の処遇が著しく低いという問題を直視しています。
一次ソース(P1)ではこう明記されています:
- 2025年の全産業の賃金改定率: 4.4%
- 医療・福祉分野: 2.3%
すでに他産業との賃金差が開き、看護師が流出しやすい環境です。
さらに、訪問看護・看多機では報酬制度上の制限があり、病院勤務より賃金が低く、定着の壁になっていると指摘されています。
■ 訪問看護師の賃金が“そもそも低い”
訪問看護ステーションのフルタイム看護師の月収が、同年代の病院勤務より明らかに低いことが示されています:
- 40代後半の月額給与差:約9.5万円
これは、
・医療保険分でしかベースアップ評価料が計算されない
・介護職員等処遇改善加算は訪問看護が対象外
など、制度上の構造が原因です。
つまり、訪問看護の重要性が増しているのに、評価制度が追いついていないのです。
■ 介護施設の看護師は“介護職員より離職率が高い”
介護施設で働く看護職員について:
- 「賃金の伸びが最も低い職種」
- 「離職率は介護職員より高い」
と明記されています。
病院では担えない「生活と医療の橋渡し」を担っているにもかかわらず、制度面では周辺扱いのまま。
現場では、
「看護の責任だけは重いのに、処遇は一番低い」
という声が慢性的に続いています。
■ 地域包括ケアの中核を担うのは、訪問看護と介護施設の看護師
「すべての地域、あらゆる世代の人々が適切に医療・介護を受けられる社会を守り抜くために、看護職員の処遇改善は不可欠」
病棟で“治す看護”があるなら、
在宅・施設で“生活を支える看護”があります。
高齢化が進む日本では、後者の役割がますます不可欠です。
しかし、その現場が最も疲弊している──という矛盾が今、問題になっています。
■ 日本看護協会が求める2つの要望
- 2025年度補正予算で、訪問看護・看多機・介護施設等の看護職員にも処遇改善策を
- 2026年度 介護報酬改定で、処遇改善加算の対象に“看護職員も必ず含めること”
要望は極めてシンプル。
しかし、これを外すと地域医療・介護の崩壊につながる──その危機感です。
看護師視点の“結論”
病院だけでは地域を支えきれない。
在宅・介護領域の看護があってこそ、医療は循環します。
にもかかわらず、最も待遇が低く、最も離職率が高いのが“地域の看護師”。
これでは地域包括ケアは成り立ちません。
日本看護協会の今回の要望書は、
「地域を支える看護が沈んでしまう“前に”支えてほしい」
という、現場の叫びを制度に届ける重要な一手です。
一次ソース
厚生労働省提出
日本看護協会「介護分野における看護職員の処遇改善に関する要望書」(2025.11.20)
https://www.nurse.or.jp/home/assets/20251120_01.pdf
関連記事
【日本看護協会】地域の医療・看護を守るための財政支援〜
【最新統計】看護師の賃金は本当に上がっているのか〜
【厚労省】2026年度の診療報酬改定は〜


コメント