【診療報酬】「ACP」はどこに書いてある?|点数表の中から“対話の価値”を探し出す方法

30秒サマリー

背景と現在地 ACP(アドバンス・ケア・プランニング)は、単一のメニューとして価格がついているわけではありません。それは、ハンバーグ定食の中の「隠し味」のように、様々な基本料や加算の中に算定要件として組み込まれています。

ニュースの核心 確認すべきは「金額」ではなく、施設基準として届け出ている**「指針」と、カルテに残すべき「記録」**の形式です。「意思決定支援」というお堅い言葉に変換されたACPを探し出すことで、私たちの対話は病院を守る実績に変わります。

結論 点数表を探しても「ACP」という文字は見つかりません。なぜなら、それは「入退院支援加算」や「緩和ケア診療加算」などの要件の中に、静かに隠れているからです。対話が収益に変わる瞬間、その確認ポイントを解説します。

3分サマリー

点数表(白本)には「ACP」とは書かれていない

診療報酬点数表(通称:白本)の分厚いページをめくっても、「ACP」や「人生会議」という言葉はほとんど登場しません。 代わりに使われているのが、「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」や「意思決定支援」という行政用語です。

この「翻訳作業」ができないと、現場は「私たちはこんなにACPをやっているのに、どこにも評価されていない」という錯覚に陥ります。 実際には、制度上のACPは「やったら〇〇円もらえる」というプラスアルファの加算であると同時に、「これをやっていないと、そもそも高い基本料が取れない」という**必須条件(パスポート)**として位置付けられていることが多いのです。

ポイント①:「入退院支援加算」の要件を確認する

ACPが最も広範囲に、そして基礎的に評価されているのが、入院時の「入退院支援加算」です。

  • 理由: 入院という人生の節目こそ、意思決定支援のスタートラインだからです。
  • 具体例: 「入退院支援加算1・2」の施設基準には、「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン等を踏まえた意思決定支援を行うこと」や、そのための「指針を作成していること」が明記されています。
  • 結論: つまり、ACPの指針を作り、入院時に患者さんの意向を確認するプロセスがなければ、この高い加算(数千円〜)自体が算定できない構造になっています。あなたの「もしもの時はどうしたいですか?」という問いかけは、この加算の根拠そのものなのです。

ポイント②:「緩和ケア」「救急」領域での絶対条件

看取りや急変リスクが高い領域では、より具体的で厳格なプロセスが求められます。

  • 理由: 治療方針の変更や中止といった重大な決断が頻繁に起こるためです。
  • 具体例: 「緩和ケア診療加算」や「救急搬送看護体制加算」においては、医師や多職種が患者・家族と話し合い、その内容を文書に残すことが算定の「絶対条件」です。
  • 結論: ここで重要になるのが「IC(インフォームド・コンセント)記録」です。「家族と話した」という看護記録だけでなく、「誰が、いつ、何を説明し、患者はどう判断したか」という詳細な記録こそが、監査の際に報酬請求の正当性を証明するエビデンスになります。

ポイント③:「外来」での評価(生活習慣病管理料など)

これまでは病棟が中心でしたが、2024年以降、外来診療においてもACPの導入が評価され始めています。

  • 理由: 急変してからではなく、安定している慢性期のうちに信頼関係を築き、話し合っておくことの重要性が認識されたためです。
  • 具体例: 「生活習慣病管理料(II)」において作成する療養計画書の中に、「相談窓口の案内」などの項目が含まれ、長期的な意思決定支援が要件化されています。
  • 結論: 病棟のような改まった面談だけでなく、外来での「最近、体調はどうですか?何か心配ごとはないですか?」という雑談のような相談も、計画的な管理の一部として評価対象になりつつあります。

今後の見通し:2026年は「プロセス」そのものの評価へ

2026年の診療報酬改定に向けては、ACPを行ったという「事実(結果)」だけでなく、話し合いを繰り返したという「プロセス(経過)」自体を評価する新しい視点が入ると予測されます。 また、地域包括ケア病棟などにおいても、ACP要件の厳格化が進むでしょう。

これからは、「ガイドラインに沿って指針を作っているか」「日々の対話を記録に残せているか」が、病院の経営を左右する重要な鍵となります。 私たちが日々行っている「患者さんの思いを聞く」という行為。それは優しさであると同時に、病院経営を支える強固な柱でもあるのです。

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