【労働基準法】PHSを持ったままの昼食は「休憩」ではない。|ナースが知るべき「違法な休憩」と「ただの待機」の境界線

30秒サマリー

背景と現在地

多くの病棟では、「休憩中もPHSを持つ」「ナースコールが鳴ったら対応する」が暗黙のルールになっています。しかし、労働基準法において休憩とは「労働から完全に解放された時間」を指します。

ニュースの核心

「いつでも対応できるように待機している時間」は、法律上は休憩ではなく「手待時間(労働時間)」とみなされます。つまり、PHSを持って待機している時間は、給料が発生すべき労働時間なのです。

結論

「忙しいから仕方ない」で済ませてきたその時間は、実は病院側による「賃金の未払い」かもしれません。休憩が取れないなら、その分の残業代を請求する権利、あるいは時間をずらして休む権利があなたにはあります。

3分サマリー

「自由」でなければ、それは仕事です

「休憩に入ります」と言ったのに、リーダーから「何かあったら呼ぶからPHS持っといて」と言われる。 多くのナースにとって日常的な光景ですが、法的な観点から見ると、この瞬間にその休憩時間は消滅しています。

労働基準法第34条では、休憩時間の3原則の一つとして「自由利用の原則」を定めています。 これは、「電話に出なくてもいい」「外出してもいい」「寝ていてもいい」という、労働からの完全な解放が保障されていなければならないというルールです。 「場所の指定(病院内にいて)」や「行為の強制(電話が鳴ったら出て)」がある時点で、それは指揮命令下に置かれた「労働時間(手待時間)」と判定される可能性が極めて高いのです。

法律が定める「手待時間」とは?

ここで重要なキーワードとなるのが「手待時間(てまちじかん)」です。 これは、実際に患者さんのケアをしていなくても、「何かあればすぐに対応できる状態で待機している時間」のことを指します。

例えば、タクシー運転手が客待ちをしている時間や、店員が客のいない店内で待機している時間がこれにあたります。 看護師の場合、「休憩室で食事をしているが、PHSが鳴ったら対応しなければならない状態」は、まさにこの手待時間にあたります。 最高裁の判例でも、「労働者が使用者の指揮命令下に置かれている時間」は労働時間であると明確に示されています。つまり、口にサンドイッチを運んでいる時間であっても、PHSの足かせがある限り、メーター(給与)は回り続けていなければおかしいのです。

よくある「違法(NG)」な休憩パターン

あなたの休憩は、以下のケースに当てはまっていませんか?これらは全て、労務管理上は「休憩」として認められない(労働時間としてカウントすべき)ケースです。

  1. 「電話番」をしながらの食事
    • 誰もいないからと、ステーション内で電話番をしながら食事をする。
    • 判定【NG】: 電話が鳴るかどうかに関わらず、「鳴ったら出る」態勢にあるなら労働時間です。
  2. ナースコール対応の義務
    • 「休憩中でも、人手が足りないときは手伝う」「センサーが鳴ったら走る」というルールがある。
    • 判定【NG】: 労働から解放されていません。実際に走った時間だけでなく、緊張感を持って待機していた時間全てが労働とみなされるリスクがあります。
  3. 勉強会や委員会の強制
    • 「ランチミーティング」と称して、昼食中に会議をする。
    • 判定【NG】: 参加が強制(不参加だと評価に響く、業務に支障が出るなど)であれば、それは食事ではなく「会議」という業務時間です。

「取れなかった休憩」はお金か時間に換える

もちろん、明日から急に「PHSは置き去りにして、外にランチに行きます!」と宣言するのは、患者さんの命を預かる現場の実情として難しい場合もあるでしょう。 しかし、重要なのは「休憩が取れなかった=タダ働き」ではないということです。

もし1時間の休憩中にナースコール対応や電話対応で休めなかった場合、病院(使用者)には以下のどちらかの義務が発生します。

  1. 時間をズラして休ませる:
    • 対応が終わった後、あるいは業務が落ち着いた後に、改めてしっかり1時間の休憩を取らせる。
  2. 休めなかった分のお金を払う:
    • 休憩が取れず働いた時間を「残業(時間外労働)」としてカウントし、別途残業代を支払う。

今後の見通し:記録に残すことが「防御」になる

この問題を解決するためには、個人の我慢ではなく、組織的な仕組みの変更が必要です。 「休憩中はPHSをパートナーに預ける(バディ制)」 「休憩時間を完全に確保できるよう人員配置を見直す」 こうした建設的な提案をするための第一歩は、現状を記録に残すことです。

「休憩が取れなかった」と嘆くだけでなく、「今日は12:00〜12:30までナースコール対応のため休憩未取得です」とタイムカードや業務日誌に記録し、残業申請をする。 これが、あなたの労働環境を守り、病院側に「隠れ残業」の実態を認識させるための、最初にして最大の防御策となります。

一次ソース

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