30秒サマリー
背景と現在地 これまでの介護報酬改定では、介護福祉士などの「介護職員」への処遇改善手厚かった一方で、訪問看護師は対象外や限定的な扱いに留まり、不公平感が漂っていました。
ニュースの核心 2026年度の診療報酬・介護報酬同時改定に向け、政府は「訪問看護」や「訪問リハビリ」も処遇改善加算の対象に加える方向で調整に入りました。
結論 隣の畑(介護職や病院看護師)だけに降っていた恵みの雨が、ようやく私たちの乾いた土にも降り注ごうとしています。「やりがいはあるけど給料が」と躊躇していた在宅医療への道が、経済的な裏付けを持って、誰もが選べる「太い道」へと変わりつつあります。
3分サマリー
「私たちは蚊帳の外」だった日々の終わり
訪問看護ステーションの経営は、決して楽ではありません。 一昔前は「病院よりも給料がいい」と言われていましたが、近年は病院側の賃上げ(看護職員処遇改善評価料やベースアップ評価料)が進み、逆転現象さえ起きていました。 一方で、訪問看護はガソリン代などの移動コストや、オンコール手当という重圧がありながら、公的な賃上げ支援の恩恵を十分に受けられていませんでした。
特に現場の心を削っていたのは、「制度のねじれ」です。 同じ事業所内で働くヘルパーさんには国から手厚い「処遇改善金」が出るのに、医療処置を担い、重い判断をしている看護師には出ない。 「どうして私たちだけ?」。そんな素朴で切実な疑問に対し、国はようやく「訪問看護師の給料を上げなければ、地域医療が持たない」という現実を直視し、重い腰を上げました。
2026年、給与明細に宿る「守る意思」
2026年度から、訪問看護も「処遇改善加算(またはそれに準ずる新加算)」の対象となる見通しです。これには大きく3つの意味があります。
- 「病院・介護」との格差是正 病院看護師との賃金格差、および介護職員との待遇差を埋めるための措置です。月額数千円〜1万円単位でのベースアップが期待され、「病院に戻ったほうが稼げる」という人材流出に歯止めをかけます。
- 実質的な「インフレ手当」 ガソリン代や備品代の高騰分をカバーする意味合いも含まれています。これまでは事業所の持ち出し(利益減)で耐えていた部分が公定価格として補填されることで、ボーナスカットや手当削減のリスクが減り、経営基盤が安定します。
- 「生活水準」を落とさない選択肢へ 「給料が下がるから訪問看護に行けない」というハードルが下がります。病院で経験を積んだ中堅ナースが、生活水準を維持したまま、安心して地域へ飛び込めるようになります。
雨の中を漕ぐ背中は、国の資産になった
2026年4月の施行に向け、これから具体的な「加算要件」や「分配ルール」が決まっていきます。 「書類上の賃上げ」で終わらせず、確実にスタッフの口座に届く仕組みになるか、注視が必要です。
ただ一つ確かなのは、雨の日もカッパを着て自転車を漕ぎ、利用者の家へ向かうあなたの背中を、国が「守るべき資産」だと認めたということです。 これからは「好きだから」「やりがいがあるから」という個人の情熱だけに頼るのではなく、「プロとしての対価」もセットで、そのハンドルを握り続けられる時代がやってきます。 あなたが地域を走り続けることは、ボランティアではなく、正当に評価されるべき「仕事」なのです。
一次ソース
https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-hosho_126734.html
(厚生労働省:社会保障審議会 介護給付費分科会|令和8年度介護報酬改定に向けた検討)



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