【2026改定】手術しない患者は「軽い」のか。|内科病棟ナースの“見えない重労働”を救う、看護必要度の修正線

30秒サマリー

背景と現在地 前回の診療報酬改定では、手術実績(C項目)が極端に重視され、手間のかかる内科患者が多い病棟でも「重症度が低い」と判定され、人員基準(7対1)の維持が困難になるケースが相次ぎました。

ニュースの核心 2026年改定に向けた議論で、内科的な処置や、救急搬送後の入院初期の負担を、より手厚く評価する「揺り戻し」の方針が固まりつつあります。

結論 派手なスポットライト(手術)だけでなく、長い夜を支えるろうそくの光(内科ケア)も、等しく熱を持っていることに国が気づき始めました。「切る・縫う」だけが医療ではない。ベッドサイドで汗を流す内科ナースの苦労が、ようやく「点数」という共通言語で認められようとしています。

3分サマリー

「内科の冬」と、現場の憤り

2024年度の改定は、内科病棟にとって屈辱的とも言える「冬の時代」でした。 誤嚥性肺炎で吸引が頻回な患者さん、心不全で体位変換すら命がけの患者さん、せん妄で目が離せない患者さん。 内科病棟のナースは、こうした「処置」と「生活援助」の狭間で、息つく暇もなく動き回っています。

しかし、前回の改定では**「手術(C項目)」の点数が優遇され、日々のケア(A項目・B項目)のハードルが上げられました。** その結果、「全身麻酔の手術をした」というだけで点数が取れる外科病棟に対し、どんなに手がかかっても「手術をしていない」内科病棟は、看護必要度の基準を満たすのが困難になりました。 「私たちの忙しさは、病院の利益にならないのか」。そんな無力感が、多くの内科ナースの心を削ってきたのです。

復権のカギは「A項目の見直し」と「救急評価」

現場の悲鳴を受け、国はようやく**「手術偏重の是正」**へと舵を切り始めました。2026年に向けて議論されている具体的な修正ポイントは、主に以下の2点です。

  1. 「内科的処置(A項目)」の地位向上 これまで厳しく判定されていた「心電図モニター」や「呼吸ケア」などの項目が見直される可能性があります。 手術のような派手なイベントがなくても、急変リスクが高い状態で**「看ていること(モニタリング)」そのものが、高度な医療である**と再定義されようとしています。
  2. 「手術に至らない救急搬送」の評価 「救急車で来たけれど、手術適応ではなかった」。これまでは点数になりにくかったケースです。 しかし、実際は初期のアセスメント、家族への説明、緊急入院の手続きと、現場の負担は甚大です。ここに対し、「緊急入院を受け入れた」という事実だけで評価が付く新たな仕組みが検討されています。

「生活を支える看護」も立派な急性期医療

さらに、高齢化社会において避けて通れない**「B項目(患者の状態・ADL)」**の重要性も再確認されています。

認知症や身体機能の低下がある患者さんが入院した場合、単に病気を治すだけでなく、「食事介助」「排泄介助」「転倒予防」といったケアが、在院日数の短縮や予後改善に直結することがデータで示されつつあります。 これまでは「それは介護の仕事だ」と切り捨てられがちだった部分が、**「急性期病院における必須の看護業務」**として、経営的な評価(点数)に結びつく流れが来ています。

2026年の改定は、単なるルールの変更ではありません。 「切って治す」医療から、「支えて治す」医療へ。 あなたがベッドサイドで流している汗の価値を、国がようやく正しく計量しようとしている証なのです。

一次ソース

https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-chuo_128154.html

(厚生労働省:中央社会保険医療協議会 総会|入院医療(その○)看護必要度のあり方 ※2025年冬の議論を参照)

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