30秒サマリー
背景と現在地 2025年4月から、子の看護休暇の対象が「小3」まで拡大され、学級閉鎖や行事でも使えるようになります。一見すると子育て世帯への朗報ですが、現場のシフト表や給与明細には、変化が起きない可能性が高いです。
ニュースの核心 最大のボトルネックは、多くの病院でこの休暇が**「無給(欠勤控除)」**であることです。つまり、有給休暇が残っている人は、給与が減るこの制度をわざわざ使わないため、実質的に何の影響もありません。
結論 仮に有給を使い果たした人がこの制度を使うようになったとしても、休暇を取った穴を埋めるスタッフが補充されるわけではありません。「制度上は休めるが、現場の負担は変わらない」。この根本的な矛盾が解消されない限り、私たちの苦しさは続きます。
3分サマリー
壁①:「有給がある人」には関係のない話
今回の改正で一番語られていない不都合な真実。それは、**「有給休暇を使い切っていない人にとっては、ほぼ無意味な改正である」**という点です。
多くの病院では、子の看護休暇は**「無給(給料が引かれる)」**扱いです。 もしあなたの手元に、給料が満額出る「年次有給休暇」が残っているとしたら、わざわざ給料が減る「子の看護休暇」を選んで申請するでしょうか? まずしませんよね。 結局のところ、ほとんどのナースはこれまで通り有給を消化して子供の病気や行事に対応します。 つまり、この制度拡大が恩恵になるのは、「すでに有給をすべて使い果たしてしまった、ギリギリの状態の人」だけであり、多くの現場スタッフにとっては「選択肢に入らない制度」のままなのです。
壁②:「休んだ穴」は誰が埋めるのか
そしてもう一つ、制度が変わっても変えられない現実があります。それは**「人員配置」**の問題です。
仮にあなたが有給を使い切り、この新しい制度を使って堂々と休んだとします。 しかし、あなたが休んだその日、その穴を埋めるための追加スタッフが病院から派遣されるわけではありません。 あなたの受け持ち患者を看るのは、すでに出勤している同僚たちです。
「法律で認められた権利だから」と頭では分かっていても、休憩も取れずに走り回る同僚の姿を想像すれば、「すみません」という罪悪感からは逃れられません。 制度を使って休む人が増えれば増えるほど、残された現場の負担は増すばかり。「休む権利を与えるなら、セットで人を増やしてくれ」。それが解決されない限り、私たちは心の底からこの改正を喜ぶことはできません。
壁③:結局、「自己犠牲」頼みのまま
国は「制度を作ったから、あとは現場でうまくやって」と言うかもしれません。 しかし、その「うまくやる」の正体は、現場のナースたちが互いに気を使い合い、無理をしてシフトを回す**「自己犠牲」**です。
対象年齢が小3まで伸びようが、行事で使えるようになろうが、「有給優先の経済合理性」と「マンパワー不足」という2つの壁がある限り、この制度が現場の救世主になることは難しいでしょう。 私たちが本当に欲しいのは、新しい法律の条文ではなく、「一人が休んでも、誰も無理をしなくていい人員体制」そのものなのです。
一次ソース
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000130583.html (厚生労働省:育児・介護休業法について|令和6年改正法令の概要 ※無給・有給の扱いは各事業所の就業規則による)



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