【厚労省】医療×訪問看護×地域包括ケアの連携強化|在宅医療の負担を減らす新しい仕組みはどこまで進むのか

30秒サマリー

背景には、2040年に向けた在宅療養の増加と、医療・介護双方の人材不足がある。
厚労省は、医療と訪問看護の連携強化、ICTを活用した在宅支援、訪問介護を軸にした地域包括ケアの再構築を同時に進めている。
病院と訪問看護ステーション、地域の介護事業所が“点”ではなく“面”でつながる体制づくりが狙いだ。
結論として、在宅医療の負担を減らすための 「医療×訪問看護×地域包括ケア」一体の改革 が補正予算で大きく動き出している。


3分サマリー

背景

高齢化の進行により、在宅療養者はさらに増えると見込まれている。
しかし、医療と介護の連携は地域差が大きく、訪問看護との情報共有、訪問介護の担い手不足、地域支援機関との役割分担の曖昧さが課題だ。
病院の入退院支援、外来の混雑、救急搬送の増加など、地域全体で患者を支える基盤も揺らぎ始めている。
厚労省はこうした状況を踏まえ、医療機関・訪問看護・訪問介護・地域資源が一体で動く地域包括ケアを補正予算で強化する方向を示した。
前提として、在宅医療を支えるには“医療と介護の境界を越えて支える仕組み”が不可欠となっている。


ポイント

  • 医療機関と訪問看護の連携強化(ICT×多職種連携)
    病院・診療所・訪問看護ステーションがつながり、入退院支援や在宅療養を支える仕組みが進む。
    オンライン診療や情報共有が広がることで、急変時の判断や入退院調整がスムーズになる。
    結論:訪問看護が“孤立しない”体制をICTで整える流れが強まっている。
  • 看護業務の効率化(訪問看護を含む看護DX)
    ICTを使った実証事業の支援により、記録・文書の負担が軽減される。
    情報が一元化されることで、訪問看護師が現場で判断する際の迷いが減り、医師との連携も取りやすくなる。
    結論:在宅ケアを支える“情報の断絶”を埋める基盤が整備される。
  • 訪問介護の体制確保(地域包括ケアの再構築)
    訪問介護でのタスクシェア・タスクシフトが進み、地域の多様な人材(ボランティア、学生、家政婦など)との協働モデルが整備される。
    地域全体で利用者を支える体制をつくり、介護事業所の負担を分散する狙いがある。
    結論:介護事業所だけに依存しない“地域で支える在宅生活”が形になりつつある。
  • 通所介護の多機能化(訪問機能の追加)
    訪問介護事業所が不足する地域では、通所介護事業所が訪問機能を追加する取り組みが支援される。
    導入費用の補助や伴走支援も含まれ、サービス空白地域の穴を埋める動きが広がっている。
    結論:“訪問が来ない地域”の課題に対する実質的な救済策となる。
  • 中山間地域などでのサテライト(出張所)整備
    地域の需要に合わせて柔軟に対応できるよう、サテライトの設置支援が進む。
    移動距離が長い地域でも、訪問サービスを途切れさせないための安全網となる。
    結論:地理的課題を抱える地域で、サービス継続の可能性が高まる。

今後の見通し

在宅医療は、医療者・訪問看護・訪問介護・地域住民が同じ方向を向くことで初めて成り立つ。
ICTによる情報共有、多職種連携、訪問介護の体制整備、地域資源の活用──これらがセットで動けば、住み慣れた地域で暮らし続けるための基盤が強化される。
2026年度診療報酬改定では、在宅医療・訪問看護・介護連携に関する評価が強まる可能性もある。
結論として、「医療×訪問看護×地域包括ケア」を一体で動かす流れは今後さらに加速する。


一次ソース

厚生労働省「令和7年度補正予算(案)概要(医療・医療人材関連)」
https://www.mhlw.go.jp/wp/yosan/yosan/25hosei/dl/25hosei_20251128_01.pdf


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